堂宮大工

堂宮大工

住宅を手がける家大工とは別に、寺院(堂)や神社(宮)など木太い大型の建築を手がけることを専門とする堂宮大工という集団がいる。

 

堂宮大工が扱うのは、数百年の歳月に耐える頑丈で美しい建物である。それだけに扱う木材も大きく、またそれらをつなぎ合わせる継手や仕口、あるいは部材を複雑に重ねて構成する組物、反り上がった屋根など特殊な知識と技術が求められる。

 

鍛え抜かれた技と心をもって職人集団を束ね、数百年の風雪に耐える寺院や神社を築きあげる堂宮大工棟梁。千年の伝統を受け継ぎ、組織をまとめあげながら難事業に信念を持って立ち向かう。ここでは堂宮大工棟梁の仕事を模型や図面とともに紹介する。

 

鵤工舎

慈眼寺鐘楼軒詳細図

型板 間竿

2010年制作

図面では不明な部分を確認するために実物大でベニヤ板の上に描いた図面。大きな建物をつくる堂宮大工ならではのもの。展示品は納まりが難解になる屋根隅の詳細図で、正面、断面、斜め45度からみた図面が組み合わされている。

 

木負 きおい

 

茅負 かやおい

 

飛檐垂木 ひえんだるき

 

地垂木 じだるき
 

裏甲 うらごう

 

桁 けた

 

尺杖 しゃくづえ

 

型板(茅負)

 

型板(木負)

 

型板(桁)

 

隅木 すみぎ

 

型板(裏甲)


 

鵤工舎

隅木 慈願寺鐘楼(複製)

2010年制作

隅木は建物の隅で軒先を支える部材で、必然的に長大になる。側面には軒を支える細い材(垂木)を差し込むホゾ穴を刻むが、この墨付が複雑な立体幾何学の問題になり、高度な技(規矩術)が必要とされる。

 

型板

 

屋根の反りを始め、肘木や梁など曲面をもつ部材の形状を墨付けするのに使う。同じ材でも個々の建物によって微妙に大きさや形状が異なる。角材中心の住宅では使うことは少なく、曲面加工が多い堂宮大工を特徴づける道具の一つである。

 

図板 図板

今日では滅多に見ることはできないが、かつては紙の図面だと風雨で損傷することがあるので、板に図面を描いて現場に持ち込んだ。展示品は西岡常一が法隆寺諸堂の修理の際に用いたものである。

 

通肘木側面図

 

法隆寺伝法堂側面・断面図

1/20

 

法隆寺大講堂須屋根平面図

1/100

 

法隆寺大講堂軒隅絃法規矩図

 

法隆寺大講堂二重詳細図

1/10

 

西岡常一

法輪寺三重塔仕事図

1968年

図面

1973年より再建された奈良斑鳩の法輪寺三重塔の設計図。下段が平(正面)方向の断面図、上段は隅木(斜め)方向の見上図と断面図である。

 

鵤工舎

薬師寺東院堂構造模型

2014年制作

鎌倉時代に建てられた薬師寺東院堂を2分の1の縮尺で製作。材料は吉野檜を使用。繊細に反り上がった平行垂木がつくる深い軒先が日本建築の特徴。桔木という太い材を入れることで、これを実現した日本独自の小屋裏の工夫をみることができる。長押と格天井による日本的な天井も再現している。